カジュアル向けの帯の一つとして知られている兵児帯(へこおび)。浴衣帯や男性・子供の帯のイメージが強いかもしれませんが、実は数年前から着物の帯として大人女子の間で人気沸騰中なんです!生地や色柄のバリエーションも豊富になっており、SNS上では兵児帯を使ったコーディネートや結び方のアレンジが数多くアップされています。
今回は、そんな兵児帯の魅力やあわせる着物、着ていけるシーンなどを詳しく解説します。
兵児帯の歴史

兵児帯は、現在の鹿児島県である薩摩を発祥とする帯で、もともとは兵児(薩摩の方言で15歳以上25歳以下の青年のこと)たちが締めていたしごき帯のことを指していました。これが明治維新以降東京にも伝わり、その手軽さから東京の書生(学生)たちの間で流行。次第に男性や子供の帯として広まり、現在では女性の浴衣や着物にも用いられています。
兵児帯の4つのメリット
なぜ、長らく男性や子供向けの帯として使われていた兵児帯が、今着物好きの大人女子たちの間でブームになっているのでしょうか?その理由として主に次の4つが挙げられます。
結び方のバリエーションが豊富

兵児帯が大人女子たちから高い支持を得ている理由の一つが、結び方のバリエーションの豊富さ。広めの帯幅と柔らかな素材を活かした多彩な結び方があり、兵児帯ならではの結び方はもちろん、半巾帯のリボン返しや名古屋帯の角出しなど、ほかの帯の結び方を応用することも可能です。そのアレンジ力を活かして、SNSなどでは個人が編み出したオリジナルの結び方も数多くアップされています。
さらに、帯枕や帯締め、帯揚げなどを使わず、単体で帯結びを完成させられる点も兵児帯の魅力。少ない手順で簡単に結べるので、帯結びに慣れていない初心者の方はもちろん、ラフに着付けしたいときや時間がないときの時短アイテムとしてベテランさんからも重宝されています。
通年使えるものが多い

女性向けの兵児帯が登場し始めた当初は浴衣向けのものがメインでしたが、近年は着物の風合いにもなじみやすい素材やデザインのものが増加。1本で袷にも単衣にも、薄物にもあわせられるシーズンフリー仕様のものが多いことも人気の理由の一つになっています。
ふんわりとしたエアリーなシルエット

兵児帯ならではのやわらかくふんわりとした質感も、大人女子のハートを射止めているポイント。いつも着ている着物でもあわせる帯を兵児帯に変えるだけで、可愛く華やかな雰囲気にイメチェンできます。
手ごろな価格で購入できる
画像商品:大人兵児帯 ジャガード織 ボタニカル
兵児帯は、名古屋帯や袋帯といったほかの帯に比べて値段が手ごろ。安いものであれば1万円以下で購入することができます。
また、中には両面使えるリバーシブルタイプのものもあるので、コスパよくオシャレを楽しみたいという方にもおすすめです。
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兵児帯の種類
兵児帯の素材は、主にポリエステルと木綿、正絹の3種類。それぞれのメリット・デメリットをご紹介するので、ぜひ兵児帯選びの参考にしてみてください。
| 素材 | 特長 |
| ポリエステル | ・シワになりにくい ・色柄のバリエーションが豊富 ・値段がリーズナブル |
| 木綿 | ・肌触りがよい ・値段がリーズナブル |
| 正絹 | ・キュッと締まりやすい |
兵児帯はほとんどがポリエステルや木綿で、正絹はかなり少なめ。また、同じポリエステルや木綿であってもものによって生地感が異なるので、あわせる着物や好みに応じて選んでみましょう。
兵児帯にあわせる着物や着ていけるシーンとは?

兵児帯はカジュアル向けの帯です。そのため、留袖や訪問着、付下げといったフォーマル・セミフォーマル向けの着物には不向きといえます。小紋や紬、木綿など、カジュアル向けの着物や浴衣にあわせるようにしましょう。
兵児帯は、カジュアルシーンであれば基本的にどこに締めて行ってもOKですが、生地感やデザインによって上手く使い分けるのがポイント。例えば、ふわふわでかわいらしいタイプなら浴衣にあわせて夏祭りやイベントに、しっかりとした生地感のものであればカジュアル着物にあわせて友達との食事やショッピングなどの気軽なお出かけにおすすめです。
兵児帯をよりオシャレに見せるコツ
兵児帯を使う際、次の2つのポイントを押さえておくとよりこなれ感のあるオシャレな装いに仕上げることができます。
帯締めや帯揚げを取り入れてみる

画像商品:大人兵児帯 ジャガード織 ボタニカル
兵児帯は、基本的に帯締めや帯揚げなどの道具を使わなくても結ぶことができます。けれども、これらを帯結びの道具としてではなくアクセサリーとしてプラスすることで、帯周りに華やかさを出したり、コーディネートのアクセントにしたりすることが可能。カジュアルさを残しつつ、より“きちんと感”を出せるので、着て行けるシーンも広がります。
兵児帯でも帯板は使う
くしゅっとした柔らかい素材の兵児帯の場合、ほかの帯のように必ずしも帯前をピシッと整える必要がないので「帯板はなくてもよいのでは?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。けれど、基本的に帯板を使うことをおすすめします。
なぜなら、兵児帯は柔らかいからこそ形が崩れやすく、動きにつれて折れ曲がったり、幅が狭くなっていったりしてしまうためです。帯板を使うことで安定感が出て、長時間キレイな帯結びを保つことができます。
兵児帯のおすすめアレンジ
最後に兵児帯のアレンジの一部をご紹介します。
リボン返し

半巾帯の結び方でおなじみのリボン返し。兵児帯は半巾帯より長いものが多く、幅も広くて素材も柔らかいため、よりボリューム感のあるふんわりとしたシルエットになります。
角出し風

十分な長さと帯幅があるので、角出し風のアレンジも可能。カジュアル感を抑えた上品な雰囲気を楽しみたい方におすすめです。
パタパタ結び

三連仮紐(三重紐・トリプル仮紐)を使ったアレンジ。三連仮紐のゴム部分に帯を挟んでいくだけで簡単にこなれた帯結びが完成するので、時短で着付けしたいときにも活躍します。
兵児帯でカジュアル着物をもっとオシャレに!
結び方のバリエーションが豊富、ロングシーズン使える、時短で結べるなど、多様なニーズに応えてくれる兵児帯は、今やカジュアル着物を楽しむ大人女子たちのマストハブアイテムになりつつあります。帯結びで後ろ姿のオシャレにこだわりたいという方にもぴったりの帯なので、まだ使ったことがない方もこの機会にぜひ兵児帯デビューしてみてはいかがでしょうか?
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▼プロフィール
執筆者:さない ちえ
カジュアル着物愛好家 &フリーランスライター。着物ムック本の編集・ライターやリサイクル着物店の店長などを経験。「着物をもっとオシャレにもっとカジュアルに楽しもう」をテーマに、普段着としての着物を楽しむアイディアや日常をSNS等で発信する傍ら、WEB媒体を中心に着物・日本文化関連のコンテンツ制作も行っています。
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