
「お洒落は足元から」といわれるように、和装においても草履は着物姿を美しく仕上げるために欠かせないアイテムです。着物と同様に、草履にもシーン(TPO)に応じた「格」があり、正しい組み合わせを知ることが装い全体の完成度を高めます。
特に注目すべきなのが、フォーマル草履とカジュアル草履の違い。素材・形状・色柄・TPO――これらをしっかり理解しておくことで、ワンランク上の着物コーディネートが実現します。
ただし、ファッションとして着物を楽しむ層が増えた現代においては、オールマイティに着用可能なものが開発されていたり、以下の特徴だけでどちらかを明確に判断するのは難しいのも実情ですのであくまで基本知識としてまとめています。
素材とつくりの違いが格を決める

フォーマル草履
格式のあるシーンにふさわしい草履の特徴は、光沢と高級感です。台はエナメル素材のものが多く、鼻緒はエナメル素材のほか、金糸・銀糸を織り込んだ佐賀錦や西陣織、高級ちりめん、綴織など、伝統技術を活かした高級素材が使われるのが一般的です。現代では、フォーマルシーンでも履き心地を重視する傾向が強くなってきたことから、帆布やクッション性のある素材も多く採用されています。
カジュアル草履
一方でカジュアル草履は機能性や履き心地が重視されているため、帆布・麻・綿・畳表・竹皮など素朴な見た目ながら肌なじみの良い素材が使われており、日常使いのしやすさが魅力です。軽量で滑りにくい底材を採用しているモデルも多く見られます。また、水や汚れに強くお手入れしやすい加工が施されていたりと、長く愛用できるように実用性の高いものが多くなってきています。
台の高さと構造で見る、フォーマルとカジュアルの違い
フォーマル草履は、厚みのある「重ね台(3~5枚)」構造が一般的。これにより脚を美しく長く見せ、着物姿を格調高く引き立てます。また、台にはクッション性を持たせた芯材を使うことで、長時間の着用でも疲れにくい工夫がなされたものが人気です。
一方、カジュアル草履は“低~中程度の台(1~2枚)“で、歩きやすさを重視。“すげ”(鼻緒の調整)が可能な草履は、鼻緒に指を通したときの痛みを軽減でき、より快適な履き心地が得られるのもポイントです。
色柄の選び方で印象が変わる

フォーマル草履は、白・シルバー・ゴールド・ベージュ系統など、落ち着いた色味と無地に近い上品でシンプルな台が主流。訪問着・留袖・色無地などとの相性が良く、結婚式や式典など改まった場に最適です。鼻緒は台に合わせた色調で吉祥文様柄であれば、より華やかな着姿を演出できます。
カジュアル草履では、鼻緒に花柄・縞模様・市松模様・季節のモチーフなどが豊富に展開されており、小紋や紬、浴衣に合わせて個性を楽しむことができます。季節ごとの限定デザインも人気があります。また着物とコントラストを効かせられる原色使いや、モダンなデザインの鼻緒など個性的なコーディネートのポイントとしても楽しめるため、“自分らしさ”を大切にした選び方がおすすめです。
シーン別に見る、草履選びのポイント
| シーン | 推奨される草履タイプ | 合わせたい着物 |
| 結婚式・お茶会・入学式など | フォーマル草履(エナメル・帆布) | 留袖、訪問着、色無地、付け下げ |
| 街歩き・食事・観光 | カジュアル草履(帆布・畳表など) | 小紋、紬、浴衣、ウール着物 |
| 夏祭り・夕涼み | カジュアル草履(下駄風・軽量素材) | 浴衣、綿麻の夏着物 |
最後に:草履も「装い」の一部。格にこだわりすぎず、まずは着物を楽しむ気持ちを大切に

草履はただの履き物ではありません。素材や形、色柄によって、着物全体の格や着姿の印象を大きく左右する重要なアイテムです。TPOを踏まえた草履選びが、着物姿に一層の洗練を加えることは間違いありません。
ですが、フォーマル・カジュアルそれぞれの違いを理解しつつも、あえてファッションとして枠にとらわれないコーディネートを楽しむ自由な価値観こそが、これからの着物文化をより豊かにしていく鍵となるでしょう。
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執筆:KAERUWA編集部


