【完全ガイド】夏着物とは?種類・素材・選び方・お手入れまで徹底解説〈後編〉

夏着物の素材や選び方、基本のお手入れについてご紹介した〈前編〉に続き、本記事〈後編〉では、より実践的な「浴衣と夏着物の違い」「涼やかで快適な着こなし方」「小物の合わせ方」「シーン別コーディネート」など、夏着物を日常や特別な場面で楽しむためのポイントを徹底解説します。

前編:【完全ガイド】夏着物とは?種類・素材・選び方・お手入れまで徹底解説〈前編〉


5. 浴衣と夏着物の違いとは?見た目・格・着用シーンを比較解説

「浴衣と夏着物ってどう違うの?」という疑問は、夏に着物を楽しみたい方なら一度は感じるポイント。どちらも涼やかな見た目が特徴ですが、実は「格」や「着こなし方」「TPO(時と場所、場面)」に大きな違いがあります。

浴衣と夏着物の一番の違いは“装いの格”

項目 浴衣 夏着物
普段着(もともとは湯上がり着) 普段着〜略礼装(きちんとした場にも対応)
着用シーン 花火大会・夏祭り・温泉街・カジュアルなお出かけ お茶会・食事会・観劇・軽いパーティーなど
足元 素足に下駄 足袋+夏草履できちんと感を演出

 

浴衣は気軽に楽しむカジュアルウェア、夏着物はフォーマル寄りの場面にも対応できる伝統的な装いです。

 

着こなしの違い:浴衣は軽やか、夏着物は上品に

浴衣は長襦袢を省略し、素肌に1枚で着用。半幅帯や兵児帯を軽やかに結びます。
夏着物は、絽や紗など透け感のある長襦袢を着用し、足袋と夏草履を合わせるのが基本。帯も名古屋帯や紗献上など、格式ある夏用帯を使用します。

素材や帯、小物の選び方からも「きちんと感」と「涼やかさ」を演出するのが夏着物の魅力です。

 

6. 夏着物の着方ガイド|快適さと涼感を両立するコツ

暑い夏でも心地よく、美しく着物を楽しむためには、工夫された着付けと素材選びが重要です。ここでは「インナー」「着付け小物」「帯・小物」の3つの観点から、夏着物の着方を詳しくご紹介します。

夏に快適な肌着・長襦袢の選び方

・肌着・裾除け:吸汗性・速乾性に優れた綿・麻・機能素材を選びましょう。初心者にはワンピース型和装スリップがおすすめ。
・夏用長襦袢:絽や麻など、軽やかで透け感のある素材が定番。半襟も取り外して洗えるタイプが便利です。

夏の半襟選びのポイント

夏の長襦袢に欠かせない半襟は、首元の印象を左右するだけでなく、見た目の涼しさや清潔感を演出する大事なアイテムです。気温や湿度が高くなる夏には、以下のような点に注目して選ぶのがポイントです。

・素材:麻や絽、レースなどの透け感素材が人気です。特に麻の半襟は汗を吸っても乾きやすく、首元の不快感を軽減してくれます。絽の刺繍入り半襟は上品さも演出でき、略礼装にもおすすめ。
・色と柄:定番は白ですが、淡い水色や生成り色も清涼感があります。金魚や朝顔、流水文様など、夏らしい柄をさりげなく取り入れると季節感アップ。
・メンテナンス性:取り外して洗えるタイプ(マジックテープ・スナップ留めなど)は、汗ばむ季節にとても便利。何枚か用意してローテーションするのが理想です。

首元は顔周りの印象を大きく左右するパーツ。清潔感のある涼しげな半襟を選ぶことで、夏の着物姿が一層上品に引き立ちます。
汗ばむ季節は、こまめなお手入れで清潔感をキープすることが大切です。

着付けの工夫:見た目も着心地も涼しく

・腰紐・伊達締め:通気性のよいメッシュ素材やゴム製のものがおすすめ。
衣紋の抜き具合:首元に抜け感を作ることで、涼やかさと女性らしさが際立ちます。
・補正:暑さ対策として最小限にとどめ、通気性の良い補正アイテムを選びましょう。

冷感スプレーや汗取りパッドも併用すると、快適さがさらにアップします。

帯・小物で「夏らしさ」を演出

・帯:絽綴れ、紗献上、羅(ら)などの透け感ある帯が夏の定番。軽くて結びやすい帯を選ぶと快適です。
・小物:帯揚げや帯締めはレース・麻・絽素材に。扇子、かごバッグ、ガラス細工の帯留めなどで涼感を添えましょう。

 

根付け・帯飾り 水風船

 

【西川庄六商店】minamo扇子




7. 夏着物×小物の楽しみ方|コーディネートを格上げするアイテム選び

夏の着物姿をより魅力的に見せるには、小物の選び方が重要です。以下のようなアイテムで涼やかな装いを演出しましょう。

小物 ポイント
帯留め ガラス・天然石など、透明感ある素材で季節感を表現
扇子 竹や麻素材に金魚・朝顔など夏モチーフの柄
日傘 紫外線対策+和柄やレース素材で上品に
かごバッグ 籐・竹素材で涼しげ&ナチュラルな印象に
下駄・草履 軽快な音や鼻緒の柄も夏らしさの演出に
足袋 麻やレース素材で通気性アップ&おしゃれ感も◎

 

色合いを「白×青」や「生成×水色」などで統一すると、全体のコーディネートが引き締まります。



夏におすすめのこもの一覧>>

 

8. シーン別コーディネート|夏着物で魅せる上品な着こなし例

夏着物は着用シーンに合わせて素材や帯、小物を選ぶことで、印象が大きく変わります。ここでは「お出かけ」「お茶会」「普段着」の3つのシーンに分けて、具体的なコーディネートのポイントとおすすめアイテムを紹介します。

少し改まったお出かけにおすすめの夏着物コーデ

・おすすめ素材:絽(ろ)、紗(しゃ)など透け感のある涼やかな生地
・帯の選び方:絽綴れ帯や紗献上帯など格のある夏帯
・小物のポイント:白足袋+夏草履で清潔感を演出。扇子や籠バッグで季節感をプラス

美術館や高級レストランでのランチなど、少しかしこまった場面に最適です。涼しげな透け素材と品格のある帯で、上品な夏着物スタイルを完成させましょう。

 お茶会にふさわしい夏着物コーディネート

・おすすめ素材:絽の色無地、付け下げなどシンプルで格式ある着物
・帯の選び方:名古屋帯や袋帯など格式のある帯を選択
・小物のポイント:帯揚げ・帯締めは落ち着いた色味で統一。懐紙入れや扇子にも気を配る

お茶席で求められる清潔感と礼節を意識した着こなしです。控えめながら華やかな装いで、格式ある夏着物コーデを目指しましょう。

 普段のお出かけに楽しむカジュアルな夏着物スタイル

・おすすめ素材:麻、綿麻など通気性に優れた素材
・帯の選び方:半幅帯や博多織の単帯など軽やかで締めやすい帯
・小物のポイント:素足に下駄やカジュアルな草履で抜け感を。かごバッグなどでナチュラルな涼しさをプラス

ご近所へのお買い物や友人とのランチに最適。気軽に楽しめる夏着物のカジュアルコーデです。

夏祭り・花火大会にも夏着物を楽しもう

浴衣だけでなく、麻や紗の夏着物を取り入れて、ワンランク上の夏祭りコーデに挑戦してみませんか?帯や下駄、小物に遊び心を加え、大人の涼やかな夏スタイルを完成させましょう。

着物レンタルで気軽に夏着物デビュー

「夏着物を着てみたいけど、揃えるのは大変」という方には着物レンタルがおすすめです。絽や紗の夏着物レンタルは、プロの着付け付きプランも多く、初心者でも安心して夏着物を楽しめます。

このように、シーンに合わせた素材選びや帯・小物の組み合わせを工夫することで、夏着物のコーディネートがより魅力的に。ぜひ着こなしの参考にしてください。

 

まとめ|涼やかな夏着物で、日本の美を楽しもう

夏着物は、日本人ならではの季節感や美意識を表現できる特別な装いです。令和の時代、温暖化で“夏のような気候”が長引く中、通年で活用できる単衣や夏素材の着物が注目を集めています。
涼感と上品さを兼ね備えた夏着物で、暑さも心地よく楽しむ工夫を取り入れて、着物ライフをもっと豊かにしてみませんか?

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▶ 【※前編はこちら※】
【完全ガイド】夏着物とは?種類・素材・選び方・お手入れまで徹底解説〈前編〉

 

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ライター:KAERUWA編集部

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