着物を着るとき、「どんなアクセサリーを合わせればいいのかな?」と悩んだことはありませんか?
そのままでも美しい着物姿ですが、コーディネートに少しアレンジを加えれば、さらに華やかで自分らしいスタイルを楽しむことができます。
特に、カジュアルな着物を日常的に楽しむなら、自分の個性を表現するアイテムとして、アクセサリーはとても有効です。
数あるアクセサリーの中から今回おすすめするのが、「水引を使ったアクセサリー」。
伝統的な水引を使ったアクセサリーを取り入れることで、シンプルな着物でもアクセントの効いた現代的かつ和の風合いを大切にしたモダンなスタイルが完成し、着物ライフがさらに充実するはずです。
この記事では水引の魅力や活用方法などについてご紹介します。
水引アクセサリーを取り入れて、カジュアル着物をおしゃれにワンランクUP
水引と聞くと、まずはご祝儀袋が思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか?
でも、実はそれだけではないのです。
水引アクセサリーは、ハンドメイド作家から職人が作ったものまで、さまざまなアイテムが販売されています。
和の要素たっぷりのアイテムなので、着物にぴったりなのはもちろん、着物とアクセサリーの色をリンクさせることで個性だけではなくこなれ感も演出できます。
夏は涼しげなブルーやシルバー、秋はオレンジやブラウンなど季節に応じて水引の色を選ぶことで四季を楽しんだコーディネートも。
また、無地やシンプルな着物に合わせるとインパクトのあるアクセントになり、よりモダンな印象に。
では、水引アクセサリーには具体的にどんなアイテムがあって、どのように着物にマッチするのか見てみましょう。
水引アクセサリーの種類と取り入れ方のヒント
【顔まわり】
● ピアス・イヤリング
着物といえば髪をまとめたアップヘアをはじめショートやボブスタイルの方も多く、耳が見えやすいことからゆらゆら揺れるタイプや大きめのものはアクセント使いにはぴったり。
同系色にすることで統一感のあるスタイリングが可能。
● かんざし・髪飾り
シンプルな髪型でも水引の髪飾りをプラスすれば、和の要素を取り入れつつ華やかでモダンな印象に。
【帯まわり】
● 帯留め
個性をプラスするために外せないのが、体の中心であり帯の真ん中に位置する帯留め。
帯と同系色よりも反対色のほうが差し色となり、オシャレ度がUP。
● 根付(ストラップ)
動くたびに揺れる根付けは、女性らしくさりげないこだわりを演出できるアイテム。
ワンポイントとして、季節感のあるカラーのものを取り入れると小粋な印象に。
KAERUWAのサイトでは、実際の水引ではありませんが、水引の「熨斗」のように仕上がる帯締めが販売されています。ぜひチェックしてみてください♪
意外と知らない水引の基本の結び方4種類
● あわじ結び
結び目が固くほどけにくく、結び切りを応用した結び。
結婚祝いや長寿のお祝いなど、一度だけのお祝い事に用いられますが、葬儀などの弔事にも用います。
● 結び切り
一度結ぶと簡単にはほどくことができない結び。
結婚祝いや弔事など、一度切りであってほしい場合に用います。
● 梅結び
梅の花の形をした結び目が固く簡単にほどけない結び。
結婚祝いなどに用いられます。
梅は、松竹梅と縁起物として数えられ、無病息災、厄除の縁起木です。
よって、「お守り」や「厄除け」も意味します。
● 蝶結び
水引の先端を引っ張るとほどけて結び直しができる結び。
出産祝いや入学祝いなど、何度あっても嬉しい場合に用います。
基本の結びを知ると、水引の奥深い文化を着物に添えることができます。
さらに深堀り、水引の起源や色
水引の起源は諸説あります。
1つ目は、飛鳥時代の遣隋使・小野妹子が隋から帰朝したときの答礼使が携えた献上品に紅白の麻紐が結んであったという説。
2つ目は、室町時代の日明貿易において、貿易品に、輸出品と輸入品を見分けるものとして、赤と白の縄が付けられていたことを、日本人が贈答品に赤白の縄が付けられていると誤解し、贈り物にその習慣を取り入れたという説。
どの説が正しいのかは明確には証明されていませんが、時代とともに庶民の間にも広まり、贈答文化の一部として定着していったと言われています。
また、水引の色は、慶事と弔事で以下のとおり、異なります。
●慶事の場合
「赤白」「金銀」「赤金」など
●弔事の場合
「白黒」「黄白」「双銀」「双白」など
※地域や宗教によって異なる場合があります。
水引と着物は日本文化の融合
着物と水引は、それぞれ長い歴史があり、日本人が大切にしてきた独特の美意識と和の心が込められています。
水引は、結び方一つひとつに深い意味があり、人と人との縁や絆を結び、感謝や祝福の気持ちを伝えるために使われてきました。
一方、着物は日本人の生活の中で発展してきた服飾文化。
そのデザインには四季折々の自然の美を取り入れた色彩や模様、そして着付けや着こなしにはその場の格式や相手への礼儀が反映されています。
どちらも時代を超えて愛され続けてきた大切な日本の伝統文化です。
伝統を守りながらも現代に合う美しさを表現することで、着物ライフをもっと楽しむことができるでしょう。
おわりに
なにごとも意味や背景を知ると深い知識や理解を得ることができ、より一層楽しむことができます。
着物は日本文化を象徴するアイテムなので、着るだけでも文化を継承する素晴らしい行為だと言えます。
しかし、格式ばった着物はどうしても「特別な日」や「儀礼的な場面」での装いという先入観があるため、現代社会では自由に楽しむことが難しく思われがちです。
カジュアル着物ならば、洋服のように自由な発想で楽しめる!という提案として、今回は水引アクセサリーをご紹介しました。
ぜひ、遊び心を取り入れたカジュアルなコーディネートで、自分らしい着物の楽しみ方を発見してみてください。
<主な参考文献>
『日本水引 -結ぶ、祈る、贈る、日本のかたち-』長浦ちえ著(誠文堂新光社)
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▼プロフィール
執筆者:絵理
20代で着付け教室に通い、着物の美しさに惹かれる。ブランクを経て40歳で着物ライフを再スタート。着付け教室のイベントで「水引」と出会い、繊細さと奥深さに惹かれ、水引のハンドメイドを始める。着物や水引を中心に『気軽に日本の伝統文化を生活に取り入れる』日々を楽んでいる。また、フリーライターとして活動中。