春の風物詩のひとつであるお花見。もともとは平安時代の貴族が桜を見ながら歌を詠んだり蹴鞠(けまり)をした行事が始まり。その後、庶民の間でその年の豊作を願って桜の下で宴会をするようになったのが、現在のお花見になったといわれています。
そんな伝統的な行事を、せっかくなら着物で楽しんでみませんか?今回は、着物でお花見を楽しむときのコーディネートのポイントや注意点などをご紹介します!
お花見の着物コーデにルールはある?

お花見に着物で出かけるときのルールは特にありません。
目上の方に同行したり、会社の行事のひとつとして参加したりするのであれば、相手やその場のドレスコードにあわせた着こなしをする必要がありますが、通常のお花見であれば何でもOK。
洋服でお花見に行くような感覚で、着物も自分の好きなコーディネートで参加してみましょう!
お花見におすすめの着物

お花見にはどんな着物を着て行けばよいのでしょうか?一般的にお花見は伝統行事といえどカジュアルに楽しむ場なので、着物もカジュアル向けのものがおすすめ。
小紋や紬、木綿の着物などをセレクトし、帯も名古屋帯や半幅帯、兵児帯といったカジュアル用のものをあわせましょう。
お花見コーデにおすすめの色や柄は?
お花見に行くときの着物の色柄に特に決まりはありませんが、着物は季節感を取り入れ、花鳥風月になじむ装いにするのが粋。
より着物ならではのオシャレを楽しむなら、ぜひ以下のポイントを参考にしてみてください!
春らしさを出すならパステルカラーを

着物:「東レシルック 小紋 ~fuku~「ラブレター」 御所染色」
コーディネートにお花見らしさを出すなら、春を彷彿とさせる明度の高いパステルカラーがおすすめ。
特に、桜を思わせるピンク、木々や花々の芽吹きをイメージさせるグリーン、イエローなどはお花見の雰囲気にマッチしやすいでしょう。

着物:「東レシルック 小紋 ~fuku~「花尽くし」 ボタニカル 濃紺色」
パステルカラーが苦手な方は、濃い色を主役に持ってきてもOK。その際、帯や小物に明るい色を持ってくれば、軽やかさが加わり春らしい装いになります。
また、レースなどシアーな素材も暖かい季節と好相性。色だけでなく、着物や小物の素材で季節感を出すのもオシャレです。
桜モチーフでお花見気分を盛り上げる
赤サンゴ帯留め 真鍮製 | |
くるみ細工帯留め | |
![]() |
七宝焼帯留め 四季暦 桜 |
お花見は桜を愛でるイベントなので、桜柄のアイテムを取り入れるのもコーディネートのポイントのひとつ。
着物や帯はもちろん、半衿や帯留めなど小物類にさり気なく取り入れるのもおすすめです。
ちなみに、花びらだけが描かれた抽象的な桜模様の着物であれば年中着用OKですが、枝などが描かれた写実的な桜柄の着物は一般的にこの時季だけしか着用できません。
もし後者の着物を持っているなら、ぜひお花見コーデの着物候補のひとつに入れてみてください。
ただし、人によっては「桜を生かすために桜柄の着物は控えたい」という方もいらっしゃいます。その場合は、無地や、縞・格子・ドットといった幾何学模様、更紗など季節問わず取り入れられる着物や帯がおすすめです。
着物でお花見に行くときの注意点
お花見を存分に楽しむためにも、着物でお出かけの際に気をつけておきたいポイントをご紹介します。
飲食汚れが心配な方は洗える着物を
お花見で飲食をするときに、つい着物に食べ物や飲み物をこぼしてしまうことも。着物を汚れから防ぐためにも、飲食時は手ぬぐいやハンカチなどを衿元や帯に挟んでカバーすると安心です。
また、下の写真のようにタスキット(袖が邪魔にならないように留める襷がけの代用アイテム)で手ぬぐいなどを挟んで首にかけ、エプロン代わりにする方法もあります。

万が一汚れても洗濯機で手軽に洗えるポリエステルや木綿の着物を着て行くのもおすすめです。
羽織もので体温調節を
お花見シーズンは寒暖差が激しい時季。日中は暖かくても日が沈むと急に冷え込む日もあります。そんなときは、アウターやストールで体温調節を。着物のアウターは色柄や素材、デザインも豊富なので、コーディネートや気温にあわせて選んでみましょう。
履き慣れた草履で出かける
歩く時間が長い日は、履き慣れた草履で出かけるのが安心です。おろしたての草履だと、鼻緒がきつくて指が痛くなることがあるので注意しましょう。
草履自体に履き慣れていない方は、ブーツやスニーカーなど靴をあわせて洋ミックスにコーディネートするのも◎。
お気に入りの着物コーデでお花見を楽しもう!
お花見におすすめの着物や色、柄などはあるものの、ドレスコードが指定されるようなオフィシャルなものでなければ、基本的には何を着てもOK。洋服にルールがないのと同じように、着物もあまり構えず思い思いのオシャレでお花見を楽しむのが大前提です。
まだ着物でお花見に出かけたことがない方も、この機会にぜひデビューしてみてください!
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▼プロフィール
執筆者:さない ちえ
カジュアル着物愛好家 &フリーランスライター。着物ムック本の編集・ライターやリサイクル着物店の店長などを経験。「着物をもっとオシャレにもっとカジュアルに楽しもう」をテーマに、普段着としての着物を楽しむアイディアや日常をSNS等で発信する傍ら、WEB媒体を中心に着物・日本文化関連のコンテンツ制作も行っています。
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